|
53年4月4日、生涯忘れられない日となってしまった。
この年の春休みを利用して、買ったばかりのオフロード・バイクで、四国を気楽に一人旅したのである。
高松から時計回りにぐるっと回り始め、再び高松に戻ってきた時には、はや一週間が過ぎようとしていた。
ビジネスホテルに部屋を取り、耐え難く痛い肩と腰の筋肉をほぐしながら、明日は帰宅できるという安堵感と、これで終わりだという感傷の複雑な気持ちに襲われる。
風呂で、旅の垢を落とし、テレビのスイッチを入れると、後楽園球場でのキャンディーズのライブをやっているのだが、何かがおかしい!
ラン・スー・ミキちゃんに何時もの元気がないし、会場を埋め尽くした白い特攻服?に鉢巻姿のお兄ちゃんが泣いている。
歓声さえ悲鳴に近いではないか!
異様な雰囲気に思わず固唾を飲んだが、まもなくさよなら公演だと気が付いた。
確認のため、慌ててホテルのロービーにある新聞を見ると、やっぱりそうだ・・・・・
「私たち、普通の女の子に戻りたい」訴えるように声を絞り出す彼女たちを見て、「アイドルで生きるッて辛かったんだ、僕の旅が終わる様に、キャンディ-ズとしての旅を終え、次のスッテップに羽ばたいていくのか? ラン・スー・ミキちゃん、よくがんばったね!ありがとう。」
そう思うと不思議に、ショックで沈んだ気持ちが軽くなった。
これが、キャンディ-ズの最後の思い出となった。
普通の女の子には、なれなかったようだが、今でも、ランちゃんとスーちゃんは、テレビドラマやスクリーンで、元気な姿を見せていてくれる。 |